日常生活を送るのに痛みがあるのはつらいものです。
とりわけ頭痛は生活全体に大きな影響をあたえ
精神的にも肉体的にも余裕がなくなります。
こんな時には頭痛薬がたよりですが、
薬の使い過ぎで逆に症状をひどくしてしまっていることがあります。
なぜ痛み止めが痛みを作ってしまうのでしょう?
「薬物乱用頭痛」といわれるこの症状について説明します。
頭痛薬の飲みすぎが頭痛を悪化させる。
以前はよく効いていた頭痛薬が効かなくなってきた。
こんなことはありませんか?
もともと頭痛持ちで、お薬を長く飲んでいる人は
お薬の飲みすぎによる「薬物乱用頭痛」という
お薬によって頭痛が起きている可能性があります。
その理由は次のとおりです。
いつも頭痛薬を飲んでいると痛みに敏感になってしまうのです。
お薬のおかげでまったく痛みの無い状態になれてしまうと
少しの痛みにも敏感になって頭痛(を感じる)回数が増えてしまいます。
また不安から頭痛が起きる前から予防的にお薬を飲んでしまい
飲む回数や量が増えお薬も効きにくくなってしまうという
悪循環になってしまうのです。
薬物乱用頭痛と言われる条件は?
では実際にはどんな人が「薬物乱用頭痛」といえるのでしょう。
1 以前から頭痛持ちで、月に15日以上頭痛がある。
2 同じ頭痛薬を3ヵ月以上つづけて、月に10日以上飲んでいる。
3 以前より頭痛が悪化している。
となっています。
またどのくらい飲んだら「薬物乱用頭痛」になってしまうのでしょう。
これはお薬によって異なっていて。
偏頭痛薬:約月20~30回×2~3年
頭痛薬 :約月100回(毎日なら日に3,4回)×5年
(細かい数字は省略しています)
大体の目安ですがこのくらいでなる可能性があります。
ちなみにこの「薬物乱用頭痛」の患者さんは、
日本では100人に1人くらいの割合でいるそうです。
薬物乱用頭痛は治療できるの?
「薬物乱用頭痛」になってしまったときはどうしたらいいのでしょう?
確立された治療方法は無いのですが3つの原則があり。
1原因薬物の中止
2薬物中止後に起こる頭痛への対処
3予防薬の投与
となっています。
もちろん自分で勝手に判断して行ってはいけません。
専門医を受診して診断、治療してもらいましょう。
「薬物乱用頭痛」であれば中止後2ヵ月以内に
頭痛の消失・または以前のパターンに戻るとされています。
徐々に止めるより即時に中止したほうが治りやすいそうですが
再発する患者さんも多いので、しっかりと指導してもらいましょう。
まとめ
頭痛の原因はたくさんあり、なんの病気が原因になっているか分かりません。
たとえば、「いつも決まった場所が痛い」場合は、今回の「薬物乱用頭痛」
には当てはまりません、重大な疾患が隠れていないかきちんと受診して
診てもらいましょう。
出典:日本頭痛学会ガイドライン2013
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