微生物の感染によっておきる胃腸炎には細菌性胃腸炎とウイルス性胃腸炎があります。ノロ、ロタ、アデノはみなウイルス性胃腸炎のなかまです。細菌性の胃腸炎にはO157のような夏場に起きる食中毒の原因菌があります。食中毒であれば大人でも子供でも同じものを食べた人は感染しますが、子供の胃腸炎はほとんどがウイルスによるもので、この3種類がほとんどです。3種類のウイルスの特徴を詳しく見てみましょう。
ノロウイルス感染症
自然界では一部の汚染されたカキなどの二枚貝に存在していることがあり、生や加熱が不十分な料理を食べることで感染します。しかし、よくニュースで聞くような集団発生は感染した人が料理に触れたり、吐いたものを処理するときに飛び散ったものを吸い込んだりすることで感染することがほとんどです。ウイルスが10~100個くらいのとても少ない量で感染してしまうため、しぶきのような小さなものでも感染してしまいます。乾燥にも強いため、ほこりのように小さい粒子になっても感染することがあります。
・症状 :嘔吐、下痢
・流行時期:冬季(11月~12月頃)
・潜伏期間:12-48時間
・感染経路:経口感染(飛沫したもの、手についたものなども含めて)
・登校登園基準:下痢、嘔吐が消失した後 2~3日
※良くなっても便中には長くて1ヶ月くらいウイルスが含まれていることがあるので注意は必要。
ロタウイルス感染症
乳幼児が主にかかるもので、ほとんどの子供が4,5歳までに感染します。1~2歳に感染のピークがあり初めて感染したときが重症化しやすいのでワクチンがありますが、その後は感染しても症状が軽くなっていくようです。ノロウイルスと異なるのは発熱があることです。
・症状 :嘔吐、下痢、発熱(38~40℃、2日くらいで収まる)
・流行時期:冬季(ノロがおさまった頃から春くらいまで)
・潜伏期間:1日~3日
・感染経路:糞口感染(ふんこうかんせん)、感染者の便が付着したものが口に入ることで感染、
ノロウイルスも同じようなものですが、ロタウイルスは乳幼児が主に感染し、おむ
つ替えなど直接糞便に触れることがあるためか糞口感染と言われます。
・登校登園基準:下痢、嘔吐が消失した後 5~6日
アデノウイルス感染症
アデノウイルスも乳幼児が感染するものですが、種類がたくさんあり、プール熱の原因もアデノウイルスの種類のひとつです、胃腸炎を起こす種類に感染することで発病します。下痢が一週間前後長く続くのが特徴の様です。
・症状 :発熱、嘔吐、下痢
・流行時期:年中
・潜伏期間:3日~10日
・感染経路:糞口感染(ふんこうかんせん)、飛沫感染
・登校登園基準:他のウイルス性胃腸炎に合わせた対応。
※アデノウイルスによる咽頭結膜熱は法律で決められた感染症に指定されていますが胃腸炎のアデノウイルスは指定されていないようで対応が異なります。
まとめ
ウイルス性胃腸炎はこんなにも感染しやすく、流行することがあるにも関わらず、学校の法律(学校において予防すべき感染症)などでも指定されていません。ウイルスによる感染性胃腸炎は、学校保健安全法の中で学校感染症に
指定されていないため、法律では特に出席停止期間は定められていません。これは、社会人も同じで、法律ではウイルスによる出勤停止期間は決められていませんが、食品を扱う仕事では当然ですが出社停止の決まりがあると思われます。
治療するにもウイルスに効く薬はないので対処療法でウイルスが体外に排出されるのを待つしかありません。一番大事なのは嘔吐や下痢で脱水症状を起こさないよう水分を補給することです。子供や高齢者は吐いたものをのどに詰まらせたり、誤って肺に吸い込み肺炎を起こすことがあるので注意が必要です。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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