昔体験した不思議な話~奥の細道~

東北

今から30年ほど前の話。新人営業マンだったころの話をふと思い出した。あの時見た不思議な光景を記録しておきたいと思って記事にしてみた。

新人でまだ現場に慣れずにいたころ。

 新社会人になって一人で営業の外回りに出始めたころ、なかなか実績が作れず落ち込む日が多かった。営業なんてお客さんから断られるのが仕事のようなものだからいちいち落ち込んではいられないが、分かっていても断られ続けると気分が落ち込んでしまう。

 そのころ、自分では張り切っていたつもりだが心は参っていたのかもしれない。ストレスや不安から神経質になっていたのか、営業車で走っていると山道など人が歩いていないような道でも”いま人が立っていたような気がする”と思ったり、”誰かがいたような気配がした”という情緒不安定が生み出す幻覚のような症状まで出ていた。いまはもうすっかり図太くなってむしろ断られるのが楽しみに感じるほどだけど、そんなナイーブな時期だった。

奥の細道の峠で見た物。

 宮城県と山形県の県境を走る道路で、かつて松尾芭蕉が歩いたとされる”尿前の関(しとまえのせき)”という遺跡のある国道がある。現代の道路ではカーブも少なく峠という感じでもないが勾配はきつい。

 宮城県から山形県へ向かって車を走らせ、この尿前の関を超えたあたりで不思議なものを見た。

 変わり映えの無い山道をほぼ無意識で運転していると、路肩に布のかたまりが落ちていた。大きさや材質は平積みトラックの荷物にかけるシートのような感じで、「どこかのトラックが落としていったんだな」と思って通り過ぎようとした瞬間、その汚れた大きな布の中に人の顔が見えた。

 一瞬の出来事だけど、イメージでは修行僧のような痩せたおじいさん、汚れた大きな袈裟にくるまれて座っているようだった。笑みを浮かべてこちらを見ていたような気がするが記憶も定かではない。しかし前述の”人の気配”とは違ってはっきりと顔が見えた、視覚的にはっきり見えた。でも信じられない光景にもう一度目を凝らしてじっくり見たかったが通過するのは一瞬で確認は出来なかった。

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2度目の遭遇。

 約束の時間までに移動しなければならないので、戻って確認することも出来ず”あれは何だったんだろう?松尾芭蕉の真似をして全国を歩いている人なんだろうか?”等と思っていた。

 翌週か翌々週あたりに、また同じ道を通って山形県へ向かう用事があった。「この前不思議なものを見たのはこの辺だったよなー」と運転していると、もうそこにはなにもなかった。なんだったんだろうな。。。と思いながら運転していると、別の場所にまたボロ布にくるまれたような人物が路肩に座っているのが見えた。「移動しているっ!?」。おどろいて振り返るが戻る時間も無い。「きっと奥の細道をたどって歩いているのかも、でもなぜ2回とも座っている姿なのか?」もしかしたら座った形のまま少しずつ移動してるんじゃないだろうかなどと謎の存在にこころがざわめいた。

その後の話。

 しかしその後、その姿を見ることは無かった、何回か同じ道を通りかかることはあったが、その仙人のような人?は二度と目の前には現れなかった。

 いまでも不思議で仕方ない、でも確かめようも無い不思議な出来事だった。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

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