湯治部の廊下に、かつての温泉宿の四季折々の風景写真が貼ってありました。岩手県花巻市にある鉛温泉・藤三旅館(ふじさんりょかん)に宿泊するのは約20年ぶりくらい、”白猿の湯”以外の記憶はすっかり無くなっていました。
新しい高級宿泊施設も出来て”昔と比べてどう変わったんだろう?”と思いを馳せていると、湯治部の廊下に歴史を綴った何枚かの写真が飾られていました。
薄暗さのおかげで日焼けもせず、きれいなままの写真が飾ってありました。「これはどこだろう?」と館内、館外を歩きながら写真と同じ場所で今の様子の写真を撮って比べてみたのでメモしてみたよ。
悠久の歴史・鉛温泉・藤三旅館の概要。
旅行に行く前にグーグルマップで下調べをしてみると、新しく出来た”十三月”はまだ衛星画像に写っておらず「どこに出来たんだろう?」と想像を膨らませたり、湯治部の廊下の写真を見ているうちに「昔の建物はどうだったんだろう?」と興味がわいてしまい、せっかくなので開業からの歴史を調べてみました。
600年ほど昔に白猿が傷を癒しているのを当主の祖先が見て、ここに温泉が湧いているのを発見しました。1443年頃に仮小屋を建て天然温泉として開き、1786年に大衆の浴場とするべく長屋を建て温泉旅館として開業したのが始まり。現在の藤三旅館の創業は1841年です。
鉛温泉藤三旅館ホームページより抜粋
歴史のあるこの旅館ですが、泉質が良く人々に愛されて発展し増築されてきたようです。現在の本館は昭和16年建築のケヤキ造り三階建で、昭和42年には別館が出来ました。湯治部(旧自炊部)もおそらく本館と同じ時期の建設と思われます。
湯治部の壁は塗り直したようで真っ白できれいでした、長年使いこんだ階段は角が丸くなって黒光りしています、私が小学校一年生の頃の校舎を思い出します。
そして湯治部の一部が建て替えられ2015年1月全室源泉かけ流し露天付きスイート『十三月』がオープンしました。
鉛温泉・藤三旅館の白糸の湯を写した画像
この近辺には温泉が多数ありますが、どこの温泉も豊沢川という清流のそばにあります。この画像は豊沢川上流側にある布観橋から写された写真で、正面玄関を入ったところから左へ突き当りまで進んだところにある現在は「白糸の湯」「銀の湯」という浴場がある所です。
この浴場がいつまであったのかは分かりませんが、出来た頃はとてもモダンで
宙に浮いたお風呂なんてものめずらしくて、みんながこぞって入りたがったのではないでしょうか?きっと一大目玉浴場だったことでしょう。
今では、シンプルで品の良い浴場に変わっています。
鉛温泉・藤三旅館の湯治部の中庭を撮影した写真
湯治部の中庭を写した写真がありました。春~夏ころの写真でしょうか?
雪景色もきれいですね。
撮影ポイントを探してみると湯治部の突き当たりの階段を登ったトイレの前の窓から撮ったようです。
湯治部は長い建物が2棟並んで建っていたようですね。右側の建物も丸窓が付いていてしゃれた造りだったのが分かります。今では右の建物は”十三月”になっています。
現在残っている湯治部でもかなり長い廊下と多くの部屋があります。それが2棟も建っていたのだからなんて大きな施設だったんだろうと思います。
学校のようにたくさんの部屋から、大勢の湯治客が炊事場で自炊をする様子が頭に浮かんで、当時の賑わいを想像していました。
グーグルの衛星画像ではかつての全体像は見ることが出来ませんが、
国土地理院の航空写真で当時の全体像を見ることが出来ました!
湯治部は巨大で、おそらく写真撮影ポイントが2棟をつなぐ渡り廊下になっていたのではないかと思います、大きくぐるっと周れる様になっていたと思われます。
まとめ
その他にも入口の看板も時代に合わせておしゃれな感じに変わったようです。
ストリートビューなど地図を見るのは好きですが、実際に行ってみてたくさんの発見がありました。
地図ではそこの空気は味わえません。過ぎてしまった時代はもう体験することが出来ませんが、自分が体験できた今の旅行も大事な体験であることは間違いないですね。
この貴重体験を記録する意味でもこの記事が価値があるものになればいいなと思って書きました。
一緒に行った愛犬との散歩の様子を書いた記事はこちら。
愛犬と東北温泉旅行。鉛温泉・藤三旅館周辺のおすすめ散歩コース。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
コメント