小さな薬局で働いている薬剤師です。患者さんから最近よく聞かれる機能性ディスペプシアという言葉。検査しても異常がないのにお腹が張ったり、みぞおちが痛くなったりする症状のことです。日本で正式に診断名として認められたのは2013年なのでまだ新しい病名です。原因がはっきりしないので症状も様々ですが具体的にはこんな症状があるようです。
機能性ディスペプシアの症状のおおまかな分類
今まで慢性胃炎とか、神経性胃炎、胃けいれん、胃下垂などと言われた症状をひとくくりにして「機能性胃腸症」と呼ぶようになった(wikipedia)ので、様々な症状が該当します。主にみぞおちや胃もたれなどを中心にした腹部の症状と言われています。
大きく分けてると2つのタイプに分けられて
1、食後愁訴症候群
食後の胃もたれや、すぐおなかが一杯になってしまう早期満腹感。
2、心窩部痛症候群
みぞおちの痛み、灼熱感。
よく耳にする症状ですが、健康診断を受けた人の11%~17%のひと、なにかしら胃の症状があって受診した人だと45%~53%もの人が機能性ディスペプシアだといわれているので、非常によくある病気と言えます。
ちなみに
ディスペプシアの由来は
BAD Digestion(英語)=dys peptein(ギリシャ語)=消化不良(日本語)のギリシャ語を語源としています。
(日本消化器病学会機能性消化管疾患診療ガイドライン2014より)
もっと身近なネタでいうとペプシコーラのペプシも同じ意味だそうです。
この2つのタイプをもう少し詳しく調べてみると、
機能性ディスペプシアの症状の1つ、食後愁訴症候群
こちらの症状は名前の通り、食事が関係する症状です。普通の量の食事でも、いつまでも胃の中に食べ物が残っているような不快感があったり、食べ切れなかったりするタイプ。
胃の働きが弱っていて、十分広がらなかったり、腸へ送り出す動きが鈍っているために起こると言われています。
頻度は週に数回以上繰り返すことが多いです。
機能性ディスペプシアの症状の1つ、心窩部痛症候群
こちらは痛みがあるタイプで食事はあまり関係が無い症状です。
胃よりも上のほうの焼ける感じや、こみ上げる感じ(胸やけ)は食道の症状なので
機能性ディスペプシアとは別の症状です。
みぞおちの辺りが痛んだり焼けるような不快な感じがします。原因は消化管の感覚か過敏になっていて、普通の人なら気にならない程度の圧迫や胃酸、脂分などが腸に入ったときの刺激が痛みや熱に感じる為です。痛みの程度は人により異なりますがひどい人は日常の生活に支障をきたすほどの痛みです。
頻度は週に1回以上が目安です。
まとめ
症状の原因となる病気がなくこのような症状が半年以上前から出ていて、診察を受ける前3ヵ月間はこのような状態が続いていることが1つの定義です。
「原因となるような病気」と言うのは胃潰瘍や十二指腸潰瘍、胃がんなどですが、コレを調べるには胃カメラによる検査が必要です。胃カメラがしたくないと思っても、もっと重大な潰瘍や癌を見逃してしまっては意味がありません。
また重大な病気を見逃さない為にもアラームサイン(警告徴候)と言うのがあって体重減少、繰り返す嘔吐、出血、嚥下困難、高齢、腹部腫瘤(しこり)、発熱などで該当するものがあるときは慎重に診察されます。
お腹の調子がいつもすぐれない場合は一度受診してみることをおすすめします。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
関連記事:機能性ディスペプシアの原因をチェック!10の特徴や傾向。
コメント